【健康コラム】「Omega-3脂肪酸の心身への影響」
人間の自然治癒力が最大限に発揮されるためには、食事、睡眠、運動、精神活動、の4つがしっかりとコントロールされ、互いに良い影響を及ぼしあっていることが重要です。
健康に関する情報のなかでも、この4項目の中で圧倒的に関心を集めるのが「食事」(=栄養)です。他の項目と比べても、食事は選択肢と選択の機会が多く、知識を手軽に実行できるので、健康管理の方法として「とっつきやすい」のでしょう。
今回はそんな氾濫する栄養情報の中から、特に重要である「Omega-3脂肪酸(ω-3)」についてお話します。
ω-3は魚の油に多く含まれる成分ですが、北極圏に暮らし、脂肪たっぷりのお魚ばかりを食べているイヌイットに心臓病や動脈硬化が少ないことから、1970年代ごろから研究対象として注目を集めるようになりました。
現在では、ω-3は様々な働きがあることが解っていますが、リンク先のサイトのNCCIH(米国:国立補完統合健康センター)のホームページでは、若年成人におけるω-3の抗炎症、抗不安作用についての研究結果が説明されています。
オハイオ州立大学がNCCAM(米国:国立補完代替医療センター)の協賛で行った二重盲検による実験では、68人の医学生に12週間のあいだω-3サプリメントの投与をしました。実験期間中には大きな(大学の)試験があり、被験者の医学生達は試験の前後に問診シートによる不安・うつ状態の検査と、血液検査による体内の炎症物質の検査を行いました。結果はω-3を摂取したグループはプラセボ(偽薬)を摂取したグループより、不安レベルが20%減、炎症レベルが14%減していたそうです。抗うつ作用は認められませんでした。
ω-3のうつ病治療への効果は長い間研究されていますが、いまだ優位な結果は報告されていません。しかし、ω-3は細胞膜を構築する重要な物質です。しっかりと摂取できていれば、過剰な活性酸素による脳や体への攻撃を防ぎ、心身ともによりフレッシュな状態を保つことができます。
老人では認知症予防、新生児では脳の発育などにも重要な働きをするOmega-3脂肪酸、足りていないと思われる方は毎日のお食事に少しずつ、青魚やエゴマ油などを取り入れてみてはいかがでしょうか。