症例報告

寝つきが悪くすぐに目が覚めてしまう

R.Kさん (30代)自律神経の症状

<初診までの経緯>


慢性的に疲労感と肩こりがあり、マッサージなどに通っていたが効果が長続きしない。最近は仕事が忙しいためか、夜の寝つきが悪く、ベッドに入ってから2~3時間も寝付けないことがある。また入眠後も2時間ほどで目が覚めてしまうことがあり、体質改善のために来院されました。


 


<初診時の症状・検査>


入眠困難・中途覚醒・頭痛・肩こり・日中の倦怠感


第1頸椎左側方変位


第2、第3胸椎左回旋変位


機能性側弯の疑い、アダムスポジション(-)


右胸鎖乳突筋筋力低下


腰椎前弯の消失を伴う腰部、臀部、腹部の筋過緊張


左股関節の強い内旋制限


 


<施術と経過>


問診、検査の結果から疲労による自律神経症状が疑われましたので、まずはお体の緊張を解く事を目的とした施術を行いました。筋肉の疲労に対しては、かなりお体が敏感になっている兆候がありましたので、あえて優先順位の高い部分のみ筋膜のリリースを行い、施術後にだるさが残らないよう注意しました。自律神経の疲労に対しては、筋の過緊張により長期間歪んでしまった頸椎の関節を中心にアジャストメントを行い、睡眠時に余計な情報(関節からの信号)が中枢神経を刺激しないよう施術を行いました。また睡眠に関するお話をさせていただき、寝室の室温を見直すようアドバイスさせて頂きました。4日後の2回目の施術前の問診で、前回の施術後、非常に眠くなり久しぶりに朝までぐっすり眠れたという事を確認しました。2回目の施術も基本的には同様の施術を行いましたが、お体の過緊張が改善してきたので、股関節を含め全身の施術を通常の刺激量で行いました。さらに7日後の3回目の施術では、睡眠の質に波があるものの、来院前と比べると6~7割は改善しているとの事でしたので、少しづつ姿勢改善のためご自分でやっていただくストレッチを指導いたしました。現在は月に1度のメンテナンスに移行できていますが、やはりお仕事が忙しくなると睡眠の質が下がってしまうようで、ご自分で対処できない時はご連絡いただき、集中的に施術をさせて頂いています。


 


<カイロプラクターより>


ヒトは過度の疲労により体調を崩し、腰が痛くなったり、食欲がなくなったり、頭が痛くなったりします。誰でも働きすぎで満身創痍の状態を経験したことがあるとは思いますが、実はほとんどの疲労は筋肉や臓器の疲労ではなく、自律神経の疲労であると言われています。神経や筋肉、臓器などは全て密につながっているわけですが、一番初めに疲労感を感受し、全身に「これ以上働くと危険だよ」と指示を出すのが自律神経の大きな役割です。そしてその自律神経が一日のうちで大きくリセットされるタイミングが睡眠時です。今回の患者さんは眠れないくらい疲れてしまって自律神経が休めない、という負のサイクルに入ってしまっていました。こうなると一度しっかりと自律神経をリセットする必要があります。初診時の検査で頸椎のサブラクセーション(神経系に悪さをする関節の歪み)がありましたので、そこを改善することが一番大切なことでした。患者さんの反応でとても印象に残ったのですが、アジャストメントを行った直後に全身に立毛反射(鳥肌)が起こりました。立毛筋は交感神経(自律神経系の一つ)の働きで緊張するので、アジャストメントによって自律神経にある程度の強さで直接作用できたのだとわかります。人体は複雑で中で何が起こっているかは実際には解らないことだらけですが、結果として睡眠が劇的に改善でき、負のサイクルから抜け出すきっかけになれたので印象に残る症例となりました。

今朝寝違えてしまった

M.Fさん (20代)頸の症状

<初診までの経緯>

来院日の朝、起床時に頸に痛みを感じ、身支度をしているうちに痛みが増悪。職場に到着するころには痛みでほとんど頸が動かせなくなっていました。日中も仕事にならず、会社を早退して来院されました。

<初診時の症状・検査>

頸部右回旋20°、左回旋40°、伸展45°程で右後頭蓋窩から頸部にかけて強い痛み

他動による回旋では可動域が改善

頸部伸延テスト(+)

第3、第5胸椎左回旋変位

右胸鎖関節可動性の減少、及び同側鎖骨下筋に圧痛

<施術と経過>

初診では胸椎に対するマニピュレーション(徒手による矯正)、右の胸鎖関節に対してアクチベーター(カイロプラクティック治療に使用される器機)の刺激入力を行い、頸部左回旋の可動域のわずかな改善を確認したので、残りの時間でIASTM(器具を使用した筋膜治療)による周囲筋のリリースと頸部回旋のPIR(関節を動かさずに筋肉を収縮させ緩める施術)を行いました。施術後には右回旋の可動域は45°、左回旋は70°程まで、伸展においては最大の60°まで改善しました。2日後の来院では朝方に痛みはあるものの、日中は痛みが30%程に軽減していることを確認。初診と同様の施術を行いました。さらに3日後の来院では全可動域はほぼ改善していましたが、右回旋時にのみ痛みが残っていたので、第2頸椎へのマニピュレーションも行い、可動域の改善を確認しました。1週間後のリチェックでは初診時の痛みは全て消失していました。現在では自覚症状は無いが、予防と体調管理のため月に1回のペースで頸、右肩、骨盤の歪みをとる全身のメンテナンス施術を行っています。

<カイロプラクターより>

20代前半、事務職で華奢な女性の患者さんですが、慢性的な肩こりがあり、頻繁に寝違えてしまうとの事でした。一般に寝違えと呼ばれる起床時の急性な頸の痛みには、もちろん睡眠時の姿勢(寝相)が大きく関係していますが、その前段階として体の使い方のクセに由来する骨盤、背骨の歪みやそれに伴う神経伝達の異常、筋肉の機能不全などが必ず潜んでいます。この患者さんのケースでは、初診時と2回目の施術は痛みが強かった為、表層の筋肉の痛みの緩和を目標としたアプローチを中心に行いましたが、3回目以降はもう少し根本的に右肩の歪みと背中全体への施術を行っています。患者さんいわく、寝違えがはやく治っただけでなく、肩こりをはじめ全身の体調がよくなり、眠りが深くなったとのことです。寝違えの施術と体調管理が一直線でつながっている事が実感できる症例となりました。

十年以上肩こりが治らない

A.Kさん (20代)肩こり

<初診までの経緯>

10代の頃から慢性的に肩こりが酷く、20代になりデスクワークをするようになってから悪化してきた。マッサージや整体に行っても、2~3日しか効果がもたず、またすぐ戻ってしまう。インターネットでカイロプラクティックが効果的だと知り、当院にご連絡頂きました。

<初診時の症状・検査>

上部僧帽筋の範囲に慢性的な張り感。増悪すると後頭部が締め付けられるような感じになる。

姿勢検査:頭部の前突、左右上肢の内旋傾向、MMT:右胸鎖乳突筋4/5、左腸腰筋4/5、左肩鎖関節と鎖骨下筋に圧痛、第2及び第3胸椎に顕著な可動域制限

<施術と経過>

最初は3~4日に1回のペースで3回ほどの施術を行いました。最初の施術では胸椎、肩鎖関節の矯正をメインに、症状に近い筋肉(上部僧帽筋、胸筋群、胸鎖乳突筋など)のリリースを行い、症状の改善が確認できました。2回目以降は効果を維持させるための施術として、直接的なアプローチにくわえて姿勢改善の為の施術を始めました。現在ではご自分でできる肩の体操と股関節のストレッチを行ってもらい、施術は4週間に1回のメンテナンスのみを行っています。

<カイロプラクターより>

肩こりの原因は人により様々ですが、慢性的なものであるほど生活習慣=姿勢が強く影響してきます。この患者さんのケースでは、不良姿勢によって機能不全に陥ってしまった様々な関節が、さらに姿勢を悪くしてしまうという悪循環がありました。施術によって一時的に筋肉や関節を柔らかくする事は可能ですが、それを維持するためにはより広い範囲でバランスをみて、姿勢改善の施術やストレッチを行っていく必要があります。一旦姿勢が改善されれば、その後はあまり多くの施術をしなくても自然と毎日の睡眠で回復できるようになります。

お風呂掃除をしたら腰が急に痛くなった

T.Mさん (20代)腰の症状

<初診までの経緯>

慢性的に腰痛がありましたが、昨日前かがみでお風呂掃除をしたら、今日の朝になって腰が急に痛みだしました。

<初診時の症状・検査>

腰部屈曲40°で腰仙部に鋭い痛み、伏臥位で鈍い痛み、下部腹筋及び腸腰筋に強い筋緊張あり、左股関節の屈曲制限(詰まる感じ)、SLR (-)、ナクラステスト(-)、下肢症状なし

<施術と経過>

臀部、腹部と股関節の屈曲に関わる筋を緩め、腰部の痛みに注意しながら左股関節の矯正を行いました。ある程度腰部の可動域が広がり痛みが軽減したので、腰を丸める体操と反らせる体操を行い、痛みによって固まっていた腰の関節を再度動ける状態に戻しました。最初の施術で屈曲の可動域は倍(80°程)に回復し、痛みは半減しました。2週間のうちに3回ほどの施術を行ったところ可動域はほぼ回復し、痛みは10分の1以下になりました。現在では股関節周りの動きを維持するためのストレッチと、腰を丸める体操を行ってもらいながら、月に1回のメンテナンスを行っています。

<カイロプラクターより>

今回のケースは長期間の慢性腰痛がベースにあった上で発症した急性腰痛(ぎっくり腰)でした。若い女性に多いようですが、もともと腰椎の弯曲が強い(反り腰)患者さんで、しっかりと体幹を支えるための筋力が低下しているようでした。そのため腰や股関節周りの筋肉の使い方に偏りができてしまい、特定の筋肉が過度の使用によって固くなってしまっていました。慢性的にこのような状態であったところにお風呂掃除がきっかけとなり強い痛みが出てしまったようです。一度体の一部の痛みが強くなると、傷ついた部分を守ろうとして周辺の筋肉が一気に固まってしまい、動かすと余計に痛くなってしまい、悪循環になってしまうので、初回の施術ではこの筋緊張由来の痛みを取り除くことに集中しました。傷んだ筋肉自体は、体の自然治癒力が治してくれますが、この二次的な痛みを取り除かないことにはなかなかもとの状態には戻りません。痛みは残るかもしれませんが、動かせる範囲で少しずつ運動していく事で結果的には早く治癒することになります。この患者さんはご自身のお体の特徴を理解したうえで、腰痛の再発予防の為に、昔好きでやっていたボルダリングを再開することにしました。現在ではスポーツを続けるためのメンテナンスや、パフォーマンス向上のご相談などにいらっしゃいます。

夕方になるといつも頭痛がする

A.Iさん (30代)頭痛

<初診までの経緯>

デスクワークの仕事をしていて、慢性的に肩こりがありましたが、ここ2~3か月はこめかみの部分に頭痛を感じるようになってきました。マッサージでは肩が凝りすぎていて緊張性の頭痛だと言われ施術を受けていたが、マッサージした時は楽になるものの翌日にはまた頭痛が戻ってきてしまう状態でした。取引先の方のご紹介で来院しました。

<初診時の症状・検査>

夕方5時くらいになると後頭部から左側頭部にかけて「ズキズキ」する痛みが起こる。温めたり、横になると改善する。ひどくなるとまれに吐き気を感じることもある。

第2~4頸椎の顕著な伸展制限、第2頸椎左回旋変位、左右胸鎖乳突筋の筋力低下(MMT4/5)、左胸鎖乳突筋に強い圧痛

<施術と経過>

症状に対する直接のアプローチとして頸椎、胸椎、左上部肋横突関節へのアジャストメント、胸鎖乳突筋のトリガーポイント療法とその付着部へのインストゥルメントを使った筋膜リリースを行い、再発予防と姿勢改善のために臀部の筋肉のリリースと左右股関節の内旋方向へのアジャストメントを行いました。

最初の3回の施術は2週間以内に行い、90%程の改善が確認できました。その後は再発予防の目的で4週間に1回のペースで姿勢改善を中心にメンテナンス治療を行っています。ご自宅で股関節と肩のストレッチを欠かさず行ってもらっています。

<カイロプラクターより>

徐々に始まった軽度の頭痛で、持続時間が短く、頭痛以外の症状もほとんどないことから、何か重篤な病気の症状としての頭痛(二次性の頭痛)である確率は極めて低いと予想されました。

カイロプラクティックを受診される方の頭痛は、そのほとんどが肩や首の筋肉の凝りが引き起こす「緊張性頭痛」と言われていますが、一般的な緊張性頭痛ほど治りやすいかわりに再発の可能性の高いものもありません。

今回のケースでは、肩から後頭部へ伸びる上部僧帽筋という大きな筋肉の張りだけでなく、頸の斜め前に位置する胸鎖乳突筋という筋肉にできていた「しこり」のような硬結が、側頭部の広い範囲に痛みを発していたと考えられます。

このように筋肉の過剰な使用によって発生した小さな「しこり」が、離れた広範囲な部分に痛みを及ぼす状態を「筋筋膜性疼痛症候群」または「トリガーポイント症候群」などと呼びますが、なぜ離れたところに痛みを発するのかは解明されていません。

緊張性頭痛のための施術であれば、漫然と凝りをほぐすのではなく、このようなポイントをしっかり押さえて施術をおこなう必要があります。いずれにせよパソコンをのぞき込んでしまうために首、肩に過剰な負担がかかっている事が主原因と思われるので、再発を予防するためのメンテナンスとしては首肩だけでなく、腰や股関節の機能を改善し負担の少ない姿勢を維持する事が必要です。

古傷のある左膝が伸ばせなくなり、歩行時に痛むようになった

T.Eさん (50代)膝の症状

 

<初診までの経緯>

40年以上前に怪我をした左膝が、最近になり痛むようになった。整形外科では変形性膝関節症と診断され、週1回のリハビリに通っているが、歩行時の痛みがとれず正座もできなくなってしまった。横になっても膝を伸ばしきることができず、以前受けたことがあるカイロプラクティックに受診しようと思い、当院に来院されました。

 

<初診時の症状・検査>

歩行時、及び階段の降行時に左膝関節前面に疼痛

左足のひきずり歩行

左膝関節可動域の顕著な減少(伸展制限、屈曲制限)

左股関節内旋制限

 左大腿筋膜張筋の過緊張と筋力低下(徒手筋力検査 4/5)

アプレー圧迫テスト 内旋(+)

 

<施術と経過>

大腿筋膜張筋(ももの外側)の筋膜リリース、大腿直筋遠位の硬結部のマッサージ(ART)、腓腹筋起始部の圧痛点のトリガーポイント療法、などを中心に膝関節全体の動きをつけるようにモビリゼーション(動かすリハビリ)と股関節、足関節の矯正を行いました。一度の施術で膝関節の可動域はかなり改善し、歩行時の痛みは消失しました。最初の3回は整形外科でのリハビリと交互に週1回のペースで行いましたが、1か月後以降には患者さんと整形外科の担当医の先生で相談したうえでリハビリを中止し、カイロ治療のみで2週間に1回の割合で施術しています。歩行時、階段での痛みは再発していません。

 

<カイロプラクターより>

17歳の時に内側半月板の損傷と内側側副靭帯の断裂を経験されていますが、40年以上経ち加齢により圧迫され続けてきた部分が強い痛みを発し、長い時間かけて周囲の筋を硬化させてしまっていました。

骨の変形による痛みという言い方もできますが、たった一回の施術で一時的にでも痛みが消失してしまった事から、問題の本質は痛みによって徐々に機能不全に陥った筋とそれが理由で正常な軌道で動けなくなってしまった関節の歪みであったと思われます。筋が凝り固まることなく正常に力を発揮できる状態であれば、関節も本来の働きを取り戻し、変形した膝でも十分以前と同じ生活ができるということがわかります。

「変形した骨は治らない」という言葉に落胆する事はありません。

頸を動かすとと左腕に強い痛みがはしる

M.Sさん (50代)頸の症状

<初診までの経緯>

ここ数年仕事などで体が疲れると、左の二の腕と肩の全面にピリピリするような痛みを感じていました。一年ほど前から症状が顕著になり、整形外科で検査をしたところ下部頸椎の脊柱管狭窄症と診断されました。医者からは頸椎を広げる手術を勧められましたが、体調により症状の出かたに波があるので様子を見ながら鍼など手術以外の改善方法を探している最中にカイロプラクティックにいらっしゃいました。

<初診時の症状・検査>

頸部の伸展20度、左側屈40度、左回旋40度で左上腕外側と肩部前面に刺すような痛み。パソコンのキーボードを打っていると夕方には左腕全体がだるくなる。

バコディーサイン(+) 牽引テスト(+) アドソンテスト(肩関節伸展+頸部軽度回旋で顕著な脈の減弱)

<施術と経過>

脊柱管狭窄との診断が前提にありましたので、該当頸椎には刺激を与えず、肩甲帯や上部胸椎など周辺組織の問題を取り除き、脊柱全体としての可動域の改善と痛みの軽減を目標に施術しました。初回の施術後の可動域の顕著な改善が認められたので、週に2回で合計4回の施術を行い、改善曲線が緩やかになってきたところで週1回のペースに切り替え、ご自宅で体操とストレッチを始めて頂きました。現在は肩や頸椎の可動域がかなり回復して、痛みの強さも半分以下になりました。以前は困難だったシャツを着る動作も痛みなく行えるようになりました。経過を見ながら4週間に1度の施術を続けています。

<カイロプラクターより>

ヘルニアや狭窄症、骨の変形などの診断を受けても、ほとんどの場合痛みはそれ単体のみが原因で起こるのではありません。画像には映らない筋肉の張りや、痛みに耐えるための極端な不良姿勢、また長期間痛みに晒されているために起こる心理的なストレスなど、実にさまざまな要因が集合して、最終的な感覚としてあらわれます。この患者さんの場合は痛みによる顕著な肩甲帯(鎖骨、上腕骨、肩甲骨による大きな可動ユニット)の可動制限があり、腋の下や首の根本などで様々な神経や血管などを圧迫していた可能性がありました。狭窄症と診断されてもあきらめず、狭窄症以外の問題を根気よく改善していったので、結果として痛みが軽減、可動域が改善し、手術の必要は感じなくなったそうです。初診で来院されたときは非常に不安そうでしたが、根気よくストレッチや体操を続けていただいたり、「よくなりたい」という患者さんの強い気持ちが伝わってきた症例でした。また、プリントアウトしたMRI画像をお持ちいただいたので、どの部分をどのように、どんな理由で施術していくべき、というお話がスムーズにできたことも早い改善の助けになりました。