症例報告

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古傷のある左膝が伸ばせなくなり、歩行時に痛むようになった

T.Eさん (50代)膝の症状

 

<初診までの経緯>

40年以上前に怪我をした左膝が、最近になり痛むようになった。整形外科では変形性膝関節症と診断され、週1回のリハビリに通っているが、歩行時の痛みがとれず正座もできなくなってしまった。横になっても膝を伸ばしきることができず、以前受けたことがあるカイロプラクティックに受診しようと思い、当院に来院されました。

 

<初診時の症状・検査>

歩行時、及び階段の降行時に左膝関節前面に疼痛

左足のひきずり歩行

左膝関節可動域の顕著な減少(伸展制限、屈曲制限)

左股関節内旋制限

 左大腿筋膜張筋の過緊張と筋力低下(徒手筋力検査 4/5)

アプレー圧迫テスト 内旋(+)

 

<施術と経過>

大腿筋膜張筋(ももの外側)の筋膜リリース、大腿直筋遠位の硬結部のマッサージ(ART)、腓腹筋起始部の圧痛点のトリガーポイント療法、などを中心に膝関節全体の動きをつけるようにモビリゼーション(動かすリハビリ)と股関節、足関節の矯正を行いました。一度の施術で膝関節の可動域はかなり改善し、歩行時の痛みは消失しました。最初の3回は整形外科でのリハビリと交互に週1回のペースで行いましたが、1か月後以降には患者さんと整形外科の担当医の先生で相談したうえでリハビリを中止し、カイロ治療のみで2週間に1回の割合で施術しています。歩行時、階段での痛みは再発していません。

 

<カイロプラクターより>

17歳の時に内側半月板の損傷と内側側副靭帯の断裂を経験されていますが、40年以上経ち加齢により圧迫され続けてきた部分が強い痛みを発し、長い時間かけて周囲の筋を硬化させてしまっていました。

骨の変形による痛みという言い方もできますが、たった一回の施術で一時的にでも痛みが消失してしまった事から、問題の本質は痛みによって徐々に機能不全に陥った筋とそれが理由で正常な軌道で動けなくなってしまった関節の歪みであったと思われます。筋が凝り固まることなく正常に力を発揮できる状態であれば、関節も本来の働きを取り戻し、変形した膝でも十分以前と同じ生活ができるということがわかります。

「変形した骨は治らない」という言葉に落胆する事はありません。

頸を動かすとと左腕に強い痛みがはしる

M.Sさん (50代)頸の症状

<初診までの経緯>

ここ数年仕事などで体が疲れると、左の二の腕と肩の全面にピリピリするような痛みを感じていました。一年ほど前から症状が顕著になり、整形外科で検査をしたところ下部頸椎の脊柱管狭窄症と診断されました。医者からは頸椎を広げる手術を勧められましたが、体調により症状の出かたに波があるので様子を見ながら鍼など手術以外の改善方法を探している最中にカイロプラクティックにいらっしゃいました。

<初診時の症状・検査>

頸部の伸展20度、左側屈40度、左回旋40度で左上腕外側と肩部前面に刺すような痛み。パソコンのキーボードを打っていると夕方には左腕全体がだるくなる。

バコディーサイン(+) 牽引テスト(+) アドソンテスト(肩関節伸展+頸部軽度回旋で顕著な脈の減弱)

<施術と経過>

脊柱管狭窄との診断が前提にありましたので、該当頸椎には刺激を与えず、肩甲帯や上部胸椎など周辺組織の問題を取り除き、脊柱全体としての可動域の改善と痛みの軽減を目標に施術しました。初回の施術後の可動域の顕著な改善が認められたので、週に2回で合計4回の施術を行い、改善曲線が緩やかになってきたところで週1回のペースに切り替え、ご自宅で体操とストレッチを始めて頂きました。現在は肩や頸椎の可動域がかなり回復して、痛みの強さも半分以下になりました。以前は困難だったシャツを着る動作も痛みなく行えるようになりました。経過を見ながら4週間に1度の施術を続けています。

<カイロプラクターより>

ヘルニアや狭窄症、骨の変形などの診断を受けても、ほとんどの場合痛みはそれ単体のみが原因で起こるのではありません。画像には映らない筋肉の張りや、痛みに耐えるための極端な不良姿勢、また長期間痛みに晒されているために起こる心理的なストレスなど、実にさまざまな要因が集合して、最終的な感覚としてあらわれます。この患者さんの場合は痛みによる顕著な肩甲帯(鎖骨、上腕骨、肩甲骨による大きな可動ユニット)の可動制限があり、腋の下や首の根本などで様々な神経や血管などを圧迫していた可能性がありました。狭窄症と診断されてもあきらめず、狭窄症以外の問題を根気よく改善していったので、結果として痛みが軽減、可動域が改善し、手術の必要は感じなくなったそうです。初診で来院されたときは非常に不安そうでしたが、根気よくストレッチや体操を続けていただいたり、「よくなりたい」という患者さんの強い気持ちが伝わってきた症例でした。また、プリントアウトしたMRI画像をお持ちいただいたので、どの部分をどのように、どんな理由で施術していくべき、というお話がスムーズにできたことも早い改善の助けになりました。